矢野顕子@広島

すべて良かったが、あえてベストを言えば、SUPER FOLK SONGの続編。頑張って生きてると、こんな歌を聴くこともできるのか。

映画『台風クラブ』

カープが優勝した年に公開された映画、という、わかるようなわからないような企画で放送されたもの、録画をやっと見た。 公開当時、僕らは主人公たちとほぼ同世代だったが、観た人はみんな、よくわからん映画、と言っていた。だから、当時の多くの中学生の気…

METAFIVE@広島

新曲全部と、ラスト「中国女」。 広島で「Winter Live」という感慨はさておき。 メンバーにベーシストがいてファンク色が出てくれば、スーパーバンドになると思うんだが。 メンバー間の緊張感が足りないのか? もったいない。

窪美澄『ふがいない僕は空を見た』

連作長編のなかでも、『セイタカアワダチソウの空』が秀逸。池澤夏樹のような醒めつつ優しい小説世界に引き込まれた。 心もとない登場人物たちばかりだが希望を感じさせる、奇蹟的な作品だ。

東京は夜の7時

パラリンピック閉会式で流されたピチカートファイブもいいが、矢野顕子のほうもいい。リオデジャネイロは朝の7時。 アナウンサーも言っていたが、東京の夜7時は、なぜだかわからないが、特別にいい。 私が今住んでいる町は、何時がいいだろうか。 しばし考え…

田山花袋『少女病』

リオ五輪からカープ優勝までの熱狂で、すっかり読書時間を奪われてしまっていた折、とんでもない怪作を読んでしまった。 会社の行き帰りの電車での美少女探しと、少女万歳の詩を作ることが快楽の、気持ち悪い中年男が主人公。こんな話を文学として成立させた…

カープ優勝マジック点灯

リオ五輪各種目での大接戦の緊張感に比べると安心して見ていられるが、偉大な「赤ヘル2016」のフィナーレまで楽しまなくてはもったいない。

ドラマ版『時をかける少女』

今回の主役は、何と言ってもNikon F3だった。 フィルムカメラは、写真の対象がそこにあった、という事実を化学的に未来永劫証明する。 それと、人生では一瞬に過ぎないひと夏の青春を対比させる。 変わるものと変わらないもの。 この作品は、リメイクされる…

綿矢りさ『蹴りたい背中』

文章は上手いが、作者の言いたいことがないということか。 最高傑作はデビュー作だろう。 才能が惜しまれる。

村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』

村上春樹のデビュー作以来登場する主人公「僕」が、現実世界を獲得する話。 ミステリー風にストーリーを牽引していくが、80年代当時の風俗描写も面白い。パソコンもスマホもなく、かろうじて留守電が連絡手段だった時代。作中に「トレンディ」という言葉がや…

中森明夫『アナーキー・イン・ザ・JP』

青春漫画のような都合のいいストーリーだが、アナーキスト大杉栄とその周辺人物が現代に登場する展開が面白い。重きが置かれるのは大杉栄ではなく主人公の少年で、楽観的な欲望の肯定で一貫している。私たちはこの小説を読むとき、パンクロックを聞くときと…

綿矢りさ『インストール』

文庫本で読む。なぜ今読んだのか、というと、高橋源一郎が激賞している文章を読んだからだが、なぜ今高橋源一郎を読んだのか、といわれるとよくわからない。文系感覚溢れる比喩表現は上手いが、比喩を畳み掛ける時間帯は限定されている。ストーリーは青春小…

猪木 vs アリ

40年前の異種格闘技戦。ノーカットでテレビ放送された。当時私は見た覚えはないので、初めて試合を見た。世紀の茶番という世間のイメージを覆す、スリリングな15Rだった。アリに有利なルールに従って戦えば、猪木もこのスタイルしかなかったんだろう。もしグ…

UA

のライブを、広島の寺で観た。大雨の中、新曲+おなじみの曲。ユーモアと優しさのある人。そして美しさは相変わらず。

CIRCLE '16

という福岡の野外フェス 2日目に行った。目当ては細野晴臣とメタファイブ。音楽フェスは初めてだったが、ファッショナブルな若者だらけで驚いた。テントを張ったりレジャーシートを敷いたり、みんなくつろいで楽しんでいる。フェス文化が根付いているんだな…

ガルシア=マルケス『族長の秋』

野心家であり小心者の大統領と彼に関わる人々の栄枯衰退を描いた小説。といっても時系列、語る人物が入り乱れていて、明確な場面切り替えもなく、シームレスに面白話が延々と続く。ひょっとすると、どこか一部をつまみ読みするだけでも楽しめるかもしれない…

広島フラワーフェスティバル

に行ってきた。平和公園のメインステージと、通りを挟んだジャズのステージを行ったりきたり。メインステージでは奥井香が出た。新曲が思いのほか良し。ジャズステージでタオルを購入。

保坂和志『途方に暮れて、人生論』

保坂和志の文章には、常に一定の読みにくさを感じる。それは、わかりやすい結論に至らない彼の思考の運動のリズムが、ややもすればわかりやすい結論を求めて安心しようとする私(達)の志向とずれているからだろう。私は将棋を少しするのだが、初段レベルか…

車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』

シンプルなストーリーで最後まで読ませる、最良のエンタメ小説だ。主人公は世間からズレている。災難と出会いが次々に訪れる。そして見事なエンディング。車谷長吉は生き恥を晒す私小説作家と言われるが、私はそう思わない。キャラクターやプロットを綿密に…

映画『みなさん、さようなら』

ただのコメディかと思ってたら、しっかりと練られたストーリーで楽しめた。濱田岳や他のキャストも個性を発揮している、いい映画だ。

谷崎潤一郎『春琴抄』

青空文庫に掲載されていたので読んでみた。芸の世界に生きる春琴と佐助の純愛。谷崎作品は官能的とか耽美的とか言われるが、脇目を振らずに進むストーリーは、直線的で、なかなかスポーティだ。というわけで体育会系に近いものを感じたが、例えばプロのアス…

車谷長吉『金輪際』

老年期に入ったと思われる作者の、過去や現在の話。すべて実話のように読めるが、実際どうなのかわからない。こういう小説なら昨今芥川賞を取っても文句なしと思うが、実際は直木賞作家だった。身を削って書かれた小説、とか言われるようだが、少しライトな…

恩田陸『夜のピクニック』

地方の進学校に通う高校三年生たちが、一昼夜歩くという伝統行事のなかで語り合い、少し成長する話。300ページを超える長編だが、会話が主体のためあっという間に読了した。ストーリーは単調で、似たような描写や説明の繰り返しも多いが、キャラクターの魅力…

METAFIVE

高橋幸宏の新バンドを毎日聴いている。ファンキーなYMO。若いバンドには真似できない凄みを感じる。

本谷有希子『嵐のピクニック』

大江健三郎賞受賞作ということで、この短編集を読んでみた。 良かったのは、「アウトサイド」と「哀しみのウェイトトレーニー」のみ。他は奇をてらった思いつきだけの内容。本一冊の分量にするため、勢いだけで無理やり書いたとしか思えないレベル。多和田葉…

大江健三郎『新しい人よ眼ざめよ』

読みながら思い出したのは、話題になったASKAのブログ。どちらも特定の人物への偏愛と、自分の罪の意識と、自己正当化と、未来への希望について語っている。ASKAのブログは、まるでブレイクの如く自作詞が挿入されている。これが結構いい詞なのだが。一応手…

滝口悠生『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』

先日、芥川賞・直木賞の受賞会見の模様を、ネットの生放送で見た。芥川賞受賞者二人が自然で落ち着いた受け答えだったのに比べ、直木賞受賞者がいい意味で気負いすぎて何を言っているのかよくわからなかったのが面白かった。 そのときの芥川賞受賞者の一人が…

中上健次『地の果て 至上の時』

『同時代ゲーム』に似て、悪文で読みにくいことこの上ない。私がもう少し年齢を重ねれば面白く読める、と思った。中上健次に比べれば、人としてまだ若造だ。 物語は最初から最後まで緊張感が続く。 浜村龍造の死による不在で宙ぶらりんに話が終わるが、この…

大江健三郎『同時代ゲーム』

最初にこの本を買ったのは、20年くらい前だろう、どこで手に入れたのかも覚えてない、箱入りの単行本。大江の初期短編から『万延元年のフットボール』まで夢中で読んだ高揚感のまま挑んだが、多分1ページ目で挫折した。 その後単行本を手放し、また読みたく…

朝吹真理子『きことわ』

どうしても、保坂和志の『カンバセイション・ピース』の世界に似ていると思ってしまう。違いは、過去の時間を主題の一つにしていることだ。『カンバセイション・ピース』の時間は、プロ野球(横浜ベイスターズ)の今シーズンであり、そのシーズンのなかでド…