2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

本谷有希子『嵐のピクニック』

大江健三郎賞受賞作ということで、この短編集を読んでみた。 良かったのは、「アウトサイド」と「哀しみのウェイトトレーニー」のみ。他は奇をてらった思いつきだけの内容。本一冊の分量にするため、勢いだけで無理やり書いたとしか思えないレベル。多和田葉…

大江健三郎『新しい人よ眼ざめよ』

読みながら思い出したのは、話題になったASKAのブログ。どちらも特定の人物への偏愛と、自分の罪の意識と、自己正当化と、未来への希望について語っている。ASKAのブログは、まるでブレイクの如く自作詞が挿入されている。これが結構いい詞なのだが。一応手…

滝口悠生『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』

先日、芥川賞・直木賞の受賞会見の模様を、ネットの生放送で見た。芥川賞受賞者二人が自然で落ち着いた受け答えだったのに比べ、直木賞受賞者がいい意味で気負いすぎて何を言っているのかよくわからなかったのが面白かった。 そのときの芥川賞受賞者の一人が…

中上健次『地の果て 至上の時』

『同時代ゲーム』に似て、悪文で読みにくいことこの上ない。私がもう少し年齢を重ねれば面白く読める、と思った。中上健次に比べれば、人としてまだ若造だ。 物語は最初から最後まで緊張感が続く。 浜村龍造の死による不在で宙ぶらりんに話が終わるが、この…

大江健三郎『同時代ゲーム』

最初にこの本を買ったのは、20年くらい前だろう、どこで手に入れたのかも覚えてない、箱入りの単行本。大江の初期短編から『万延元年のフットボール』まで夢中で読んだ高揚感のまま挑んだが、多分1ページ目で挫折した。 その後単行本を手放し、また読みたく…