村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』

村上春樹のデビュー作以来登場する主人公「僕」が、現実世界を獲得する話。

ミステリー風にストーリーを牽引していくが、80年代当時の風俗描写も面白い。パソコンもスマホもなく、かろうじて留守電が連絡手段だった時代。作中に「トレンディ」という言葉がやたらに出てくるのが気になる。今この言葉を使うのは斎藤さんだけだ。

それでも卓越した文章だからだろう、小説全体に古くささは感じない。

上巻のストーリーや登場人物の個性は「神ってる」が、下巻で、あれ? と思う展開。今年のカープがこうならないことを祈る。エンディングは、大団円、と言うには弱い。CS出場権は得た、という感じか。