滝口悠生『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』

先日、芥川賞直木賞の受賞会見の模様を、ネットの生放送で見た。芥川賞受賞者二人が自然で落ち着いた受け答えだったのに比べ、直木賞受賞者がいい意味で気負いすぎて何を言っているのかよくわからなかったのが面白かった。
そのときの芥川賞受賞者の一人がこの滝口悠生という人だ。放送を見た限り、どこにでもいそうな普通の青年という印象だった。
小説の内容は、よくわからない。原付バイクの操作にビビるとか、バイクの居眠り運転とか、よくわからない。それより幹線を走るトラックの煽りとか幅寄せのほうが危険だと思うが。
この後も思いつきのように記憶の断片が連続し、飽きる。ただ、他人事のように思いつきだけを書き連ねている気がしてならない。
安部公房は「消しゴムで書く」と言ったが、安部の消しゴムだと、タイトルごとすべて消えてしまうだろう。それでもこの作者は、あの会見のように穏やかな表情で傍観しているに違いない。