2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

綿矢りさ『蹴りたい背中』

文章は上手いが、作者の言いたいことがないということか。 最高傑作はデビュー作だろう。 才能が惜しまれる。

村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』

村上春樹のデビュー作以来登場する主人公「僕」が、現実世界を獲得する話。 ミステリー風にストーリーを牽引していくが、80年代当時の風俗描写も面白い。パソコンもスマホもなく、かろうじて留守電が連絡手段だった時代。作中に「トレンディ」という言葉がや…

中森明夫『アナーキー・イン・ザ・JP』

青春漫画のような都合のいいストーリーだが、アナーキスト大杉栄とその周辺人物が現代に登場する展開が面白い。重きが置かれるのは大杉栄ではなく主人公の少年で、楽観的な欲望の肯定で一貫している。私たちはこの小説を読むとき、パンクロックを聞くときと…