本谷有希子『嵐のピクニック』

大江健三郎賞受賞作ということで、この短編集を読んでみた。
良かったのは、「アウトサイド」と「哀しみのウェイトトレーニー」のみ。他は奇をてらった思いつきだけの内容。本一冊の分量にするため、勢いだけで無理やり書いたとしか思えないレベル。多和田葉子の真似事みたいな話を展開しても、作者に教養がなければ深みはない。
二作品良かっただけでも、買った価値はあったかもしれない。音楽アルバムだって、シングルカット級の数曲だけのために保管しているCDがある。
ただ、この本で「一発屋」の匂いがぷんぷんする。大江健三郎の解説を読むと、将来有望かどうかは判然としないようだ。作者が努力しなければ先はないが、今回の芥川賞受賞者二人は微妙すぎる。いやいつものことなんだろうか。