恩田陸『夜のピクニック』

地方の進学校に通う高校三年生たちが、一昼夜歩くという伝統行事のなかで語り合い、少し成長する話。300ページを超える長編だが、会話が主体のためあっという間に読了した。ストーリーは単調で、似たような描写や説明の繰り返しも多いが、キャラクターの魅力と会話の巧みさで、最後まで読めた。
私は年齢的に融や貴子の親とか教師の世代になるが、それでも読んでいる間は自分の高校時代の気分を思い出した。
映画『台風クラブ』に比べれば狂気は感じない。けれど退屈ではない。この作家の才能だと思う。