2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

窪美澄『ふがいない僕は空を見た』

連作長編のなかでも、『セイタカアワダチソウの空』が秀逸。池澤夏樹のような醒めつつ優しい小説世界に引き込まれた。 心もとない登場人物たちばかりだが希望を感じさせる、奇蹟的な作品だ。

東京は夜の7時

パラリンピック閉会式で流されたピチカートファイブもいいが、矢野顕子のほうもいい。リオデジャネイロは朝の7時。 アナウンサーも言っていたが、東京の夜7時は、なぜだかわからないが、特別にいい。 私が今住んでいる町は、何時がいいだろうか。 しばし考え…

田山花袋『少女病』

リオ五輪からカープ優勝までの熱狂で、すっかり読書時間を奪われてしまっていた折、とんでもない怪作を読んでしまった。 会社の行き帰りの電車での美少女探しと、少女万歳の詩を作ることが快楽の、気持ち悪い中年男が主人公。こんな話を文学として成立させた…