山田詠美『ぼくは勉強ができない』

長い間タイトルだけ気になっていたが、ブックオフで単行本が百円で売られているのを発見し、読んでみた。最初の表題作。主人公は勉強ができない、といっても、学校は進学校のようだ。つまり、「俺はまだ本気出してないだけ」ってことなんだろう。
そして、ステレオタイプな登場人物のオンパレードに、笑ってしまう。要するに彼らは作者の主張のためだけに存在する、張りぼてのようなものだ。彼らは結局、小説の中で1ミリも葛藤も変化もしない。一人の人間だって善悪両面を合わせ持っているという、当たり前のことを作者は書かない。さすが又吉の支持者。
同時に買った三浦哲郎の珠玉の短編集を読んだ後だっただけに、落差が凄まじい。
表題作だけ読んで、ゴミ箱へ。