ドストエフスキー『罪と罰』

カラマーゾフの兄弟』を、登場人物の総当たりリーグ戦と評した人がいた。
罪と罰』はどうなんだろう。各登場人物が主役となるシーンがあり、他の人物と対峙する。感情の起伏が激しい人物が多く、ジェットコースターのようなストーリー展開で、読んでいて飽きない。また、登場人物みんな言いたいことが多いので、とにかくそれぞれの話が長い。
まるで舞台上の芝居だが、登場人物のトーナメント戦と言ったらいいのだろうか。もちろん敗者復活戦もある。一発勝負の緊張感が続くのだ。
大会MVPがあるとすれば、何の基準もないが、スヴィドリガイロフにあげたいと個人的に思う。
とはいえ、この小説の感想は一言で簡単には言えない。まして私のような低脳にはなおさらだ。今回が初読だったが、読む前まではひたすら暗い内容だとずっと思っていた。実際は、喜劇とも言えるし、当時のペテルブルクの状況を扱った社会小説とも言える。
読む側の年齢によってもこの小説の印象は変わるだろうし、読むたびに感じ方も変わるのではないだろうか。