ガルシア=マルケス『族長の秋』

野心家であり小心者の大統領と彼に関わる人々の栄枯衰退を描いた小説。といっても時系列、語る人物が入り乱れていて、明確な場面切り替えもなく、シームレスに面白話が延々と続く。ひょっとすると、どこか一部をつまみ読みするだけでも楽しめるかもしれない。
それでもエンディングに大団円っぽい雰囲気になったので、最初から読み進めて良かったのか。
作品中で大統領や取り巻きは死んでいく。過去の話だから当然だが、保坂和志の言う「小説が存在するのは小説を読んでいる間だけだ」という意味では、作品を読み返すたびに、彼らは生死の間を行ったり来たり、存在している。