矢野顕子@広島
すべて良かったが、あえてベストを言えば、SUPER FOLK SONGの続編。頑張って生きてると、こんな歌を聴くこともできるのか。
映画『台風クラブ』
カープが優勝した年に公開された映画、という、わかるようなわからないような企画で放送されたもの、録画をやっと見た。
公開当時、僕らは主人公たちとほぼ同世代だったが、観た人はみんな、よくわからん映画、と言っていた。だから、当時の多くの中学生の気分を代表する映画ではないが、気分を先鋭化して、その先を行っていたのかもしれない。ただ当時は明るく能天気な時代であり、そう思ってても言えない空気があった。
見返して話の細部はほとんど忘れていることに気づいた。当然だろう、主人公たちは現在、中年期も終えようとしている世代だ。それくらいの年月が経っている。
子供と大人の対立、という図式だけではすっきり理解できない映画だが、数学教師の義父?が入墨を見せるシーンは、どきりとさせられる。テレビドラマなら、最高視聴率の瞬間か。
いやそれなら、雨の中中学生たちが『もしも明日が』で踊るシーンのほうが、数字が取れる。
METAFIVE@広島
新曲全部と、ラスト「中国女」。
広島で「Winter Live」という感慨はさておき。
メンバーにベーシストがいてファンク色が出てくれば、スーパーバンドになると思うんだが。
メンバー間の緊張感が足りないのか? もったいない。
窪美澄『ふがいない僕は空を見た』
連作長編のなかでも、『セイタカアワダチソウの空』が秀逸。池澤夏樹のような醒めつつ優しい小説世界に引き込まれた。
心もとない登場人物たちばかりだが希望を感じさせる、奇蹟的な作品だ。
田山花袋『少女病』
リオ五輪からカープ優勝までの熱狂で、すっかり読書時間を奪われてしまっていた折、とんでもない怪作を読んでしまった。
会社の行き帰りの電車での美少女探しと、少女万歳の詩を作ることが快楽の、気持ち悪い中年男が主人公。こんな話を文学として成立させた当時のインパクトは、計り知れないものだったろう。
彼がいまこの時代に生きていれば、バッドエンドにはならなかったかもしれない。アイドルブームとメディアの発達で、楽しみはいくらでもあるし、追っかけている中年男も世に大勢いる。
で、言いたいのは「田山花袋は私だ」ということ。オリンピックの卓球女子団体に涙し、バトミントン美女に心奪われていた私は、主人公よりも一回り年上であり、彼にも増して気持ち悪いではないか。今年はチケット入手が難しかったため、カープ女子見たさにマツダスタジアムに行くことはなかったが。仕方ない、欅坂46の動画でも見るか。
大丈夫、現代は美少女崇拝が市民権を得ているから、気持ち悪くとも私は死なない。